戸建の家を建てるとき、火事や地震のことなどを考えるとどういった工法で建てるかが大事になってきます。そこで以下では戸建によく用いられる工法を3つほどご紹介したいと思います。
(参考:耐震構造・制震構造・免震構造 比較)
木造在来工法(木造軸組工法)
日本で最も普及している歴史の古い工法で、日本の代表的な一戸建てといえばこの工法です。柱や梁を組み合わせた骨組みを作って建物を支え、そこに床、壁、屋根を取り付ける工法です。外力を受けると変形を受けますが、筋交いや補強金物を入れることで変形しにくくする=耐震性を上げることができます。
- メリット
- 外壁、屋根形状、間取りなど設計の自由度が高い
- 増改築、リフォームの自由度が高く、容易にできる
- 一般的な建築法のためどこの工務店でも施工できる
- 解体時の解体費が安価で、地盤への負荷が少なく地盤改良などの費用が抑えられる
- デメリット
- 防火・耐火性が低い
- 耐震性が若干低い
- 湿気に弱く「防湿」「防腐」「防蟻」処理が必要
- 出来栄えは職人さんの腕しだい
- 構造材の樹種によって強度や耐久性に大きな差がある
ツーバイフォー(2×4)工法(枠組壁工法)
もとは北米の工法で、2インチ×4インチの規格化された部材を基本とすることから 「ツーバイフォー」 と呼ばれます。この工法は、床・壁・天井からなる六面体で建物を支えるところが木造軸組工法とは異なります。枠組部材に構造用合板や石膏ボードを張り付けたパネルを組み合わせて、床、壁、天井を作っていきます。壁が構造体となるため、開口部を広くとったり、コーナー窓を設けたりすることができません。その分、面で支える構造なので地震などの揺れに強く、隙間ができにくいので気密性にも優れています。
- メリット
- 耐震性、耐風性にすぐれている
- 気密性、断熱性が高い
- 工期が比較的短い
- 規格化され工場で大量生産された木材を使用するため手間やコストを抑えられる
- 職人の技量により出来栄えに左右されることが少ない
- 工期が比較的短い
- 地盤への負荷が少なく地盤改良などの費用が抑えられる
- デメリット
- 剛性が強く、制震装置の設置には向かない
- 結露しやすい
- 湿気に弱く「防湿」「防腐」「防蟻」処理が必要
- 間取りや出入口・窓の配置や大きさなど自由度に欠ける
- 増改築・リフォームが難しい
鉄筋コンクリート造り(RC造)
鉄筋で柱、梁、壁、床などの基本構造を組み、その回りに型枠を作ってコンクリートを流し込む工法です。建物自体が重くなるためボーリング調査を行い適切な地盤改良や基礎工事が必要となります。構造的には、柱と梁とで骨組みを作る 「ラーメン構造」と、壁自体により加重を支える 「壁式構造」 とに分かれ、それぞれ一長一短があります。
- ラーメン構造
- 間取りが比較的自由
- 窓などの開口部の制約も少ない
- 工費が高い
- 柱や梁が室内空間に出てしまう
- 壁式構造
- 柱や梁が室内に出ない
- 工費が比較的安い
- 間取りや開口部の設置に制約
- メリット
- 丈夫で耐久性が高い
- 耐震性、耐火性、遮音性にすぐれる
- デメリット
- 工費が高い
- 工期が長くかかる
- 増改築・リフォームが難しい
まとめ
どの工法にもメリット・デメリットはありますが、1981年度改定の新耐震基準に沿った建築物であれば、阪神淡路大震災でも被害の少なかったことが立証されておりますので、現在の建築基準法をクリアしていれば、概ね安全とは言えるでしょう。
また、いずれの工法でも「免震システム」を導入することができるため、地震から命だけでなく「家や家具も守りたい」という方は検討してみてもいいかもしれません。もちろんそれなりの費用がかかります。おおむね建坪あたり15~20万円、全体で400~500万円ほどかかるようですが、保険料・安心料と考えられるのではないでしょうか。
その為、最も大切なのは「費用」「間取りの自由度」「工期」「リフォームのしやすさ」などといった点で工法によって違いがありますので、それぞれの特徴をよく理解し、どの工法が自分には合っているのかを見極めることです。
土地の状況によっては採用できない工法もあるので、早めにハウスメーカーなどに確認しましょう。
費用 | 工期 | 耐震性 耐風製 |
耐火性 | 増改築・リフォーム の自由度 |
間取りの自由度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
木造在来工法 (木造軸組工法) |
○ | △ | △ | × | ◎ | ◎ |
ツーバイフォー (2×4)工法 (枠組壁工法) |
◎ | ◎ | ○ | △ | × | × |
鉄筋コンクリート造り (RC造) |
× | × | ◎ | ◎ | × | × |