施工会社・工務店・ハウスメーカーの選び方

家を建てることは、多くの人にとっては一生に一度といってもいい大きな買い物。後悔しない、納得のいく家づくりを実現させるためには、やはりパートナーである住宅会社(ハウスメーカー・工務店)選びが最も重要です。 家を建てる手順や住宅会社を選ぶ際のポイントなどを知って準備しましょう。


家を建てる手順とより良い工務店・ハウスメーカーに出会うためのポイント

工務店・ハウスメーカー選びは重要ですまず、家を建てる手順としては、下記の流れが一般的です。

  1. 予算決め
  2. 土地決め
  3. 工務店・ハウスメーカー決め
  4. 建物プラン作成依頼と概算見積もり
  5. 仮契約
  6. 地盤調査
  7. 詳細打合せ・見積もり
  8. 本契約
  9. 住宅ローンの本申込

実際に依頼する工務店・ハウスメーカーを決めるのは3~5までの過程となります。


依頼するその前により良い工務店・ハウスメーカーと出会うためのポイントを下記にまとめました。

家を建てる手順について

下記が一般的な家づくりの流れですが、各会社や状況によっても異なりますので、候補の住宅会社とよく相談しながら進めていって下さい。

1. 予算決め

家づくりには、建物を建てるお金以外に、土地を買うお金や他にも細々とした諸経費がたくさんかかります。つい、大きな金額である土地や建物の建築費にばかり意識がいきがちですが、そうした細かい諸経費まで把握して予算に組み込んでおくことが必要となります。最も重要なのは、総額いくらまで出せるか?ということです。 支払いについては、住宅ローンを組むのが一般的です。収入など様々な条件によって借り入れできる額が決まりますし、頭金、月々の返済額など自分が将来に渡って支払っていけるのはどのくらいの額なのかを見定めておく必要があります。必要に応じて、中立的な立場でアドバイスしてくれるファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することも有効でしょう。

2. 土地決め

予算が決まったら、総額から建物とその他の諸経費を差し引いた金額で土地代にいくら払えるのかを算出します。 その上で、自分や家族が暮らしていく場所に求める条件について整理し、その条件に合った土地を探します。 気に入った土地を見付けても、用途地域、建ぺい率、容積率などその土地にかかる様々な法的規制や、ハザードマップ、地盤の状態など、購入する前に確認しておくべきポイントはたくさんあります。 中には「建築条件付き」といって、指定のハウスメーカーで住宅を建築することが購入条件となっている土地もあります。 また、工務店やハウスメーカーによっては、土地が決まっていない段階でも希望を聞いて土地を紹介してくれる場合もあります。 土地が見つかったら、売買契約をして土地の所有権移転登記を行い、住宅ローンが借り入れできるかどうかなど金融機関が審査を行います。

3. 工務店・ハウスメーカー決め

満足のいく家が建てられるかどうかは、ほとんど工務店・ハウスメーカー次第で決まるといえます。 インターネットで調べるのはもちろんのこと、住宅展示場や現場見学会に行くなどして、まずは自分の理想の家づくりがかなえられそうなところを数社、目星を付けておきましょう。3〜4社に絞っておくのが適切です。 自分の建てたい家や、依頼したい住宅会社のイメージが固まってきたら、いよいよ具体的な行動です。 迷ったり悩んだら、最初に考えた建てたい家の構想に立ち戻り、どこが譲れないポイントでどこまでなら妥協できるのか、よく考え相談しながら、納得のいく家づくりにしましょう。

4. 建物プラン作成依頼と概算見積もり

工務店・ハウスメーカーの候補を数社に絞ったら、家のプラン作成を依頼します。大手ハウスメーカーの中では無料でプラン作成してくれるところがほとんどですが、中には費用がかかる場合もありますので、営業担当者に要確認です。 プラン作成の際には、必ず土地の敷地調査が入ります。敷地調査では、敷地の広さや勾配の測定、電気・ガス・上下水道の引き込み状況の確認、用途地域など法的規制の確認、敷地周辺の状況の確認などを行います。 その後、工務店・ハウスメーカーから家の要望などのヒアリングが行われ、それらの結果を踏まえて、建物プランと概算見積もりが作成されます。

5. 仮契約

数社の建物プランと概算見積もりを比較した上で、納得のいく工務店・ハウスメーカーが決まったら、仮契約を結びます。具体的には、設計申込を行うことになり、ここからは費用がかかってくる場合がほとんどと考えた方がよいでしょう。また住宅ローンを申し込む予定の人は、実際に金融機関から借り入れができるかどうか、事前審査の申し込みを並行して行いましょう。 しかし、費用が生じるものの、あくまで「仮」契約ですので、少しでも気になったらまだ解約できる段階であるということは忘れないで下さい。

6. 地盤調査

工務店・ハウスメーカーと仮契約を結ぶと、次は土地の地盤調査が入ります。地盤調査が行われなければ、最終的な見積もりを出してもらうことができません。 もしここで、地盤が軟弱であることが判明すれば、補強費用として20万円〜100万円超かかる場合もあります。

7. 詳細打合せ・見積もり

ここまで来たら、住宅の間取りやキッチン、トイレ、風呂などの住宅設備、内装や外装をどうするかなど詳細の打合せに入ります。 打合せ結果を踏まえた図面や見積もりを工務店・ハウスメーカーがその都度出してきますので、よく確認して、妥協の無いよう納得おくまで詰めていきましょう。

8. 本契約

プラン、価格、工事の行程スケジュールなどが固まったら、いよいよ請負契約(本契約)です。建築に関する法律の関係上、工事途中での変更は難しい場合がほとんどですので、本契約の前にもう一度よく確認しておきましょう。

9. 住宅ローンの本申込

新しい自宅の登記を済ませたら、家を担保に住宅ローンが実行されます。登記については、司法書士に依頼するのが一般的です。

よりよい工務店・ハウスメーカーに出会うためのポイントについて

住宅に対する要望や理想を整理しておく

家族全員の要望や理想を整理しましょうまず一番大切なのはここです。もちろん自分ひとりの要望や理想ではなく、その家に住む予定の家族全員の要望や理想をまとめる必要があります。 その上で、何部屋必要なのか、住む場所の気候はどうか(家の断熱性など)、デザインやインテリアはどうするか、家の素材はどうするか、価格はどのくらいなら可能か、などなど様々な条件が見えてくるはずですので、優先順位をつけながら家族も納得のいく住宅の構想を練らなければなりません。

どんな住宅会社にお願いしたいかイメージしておく

住宅会社は、ハウスメーカーか工務店のいずれかに依頼することが一般的です。 ハウスメーカーは規格住宅が充実しており、出来合いの商品の中から選ぶことが主になるため、購入する側としては一から考える必要が無く、手間が少なくて済むのが魅力です。土地の購入からサポートしてくれるところも多く、まさに時間が無く面倒なことが苦手な人向けといえるかもしれません。また、その会社が独自開発した技術や省エネ対策など、最新の住宅技術・性能を備えることができるのも大きな魅力といえます。

工務店はハウスメーカーに比べ設計の自由度が高く、またコストを抑えられるのが魅力。また、それぞれの工務店ごとに工法やデザインなどにこだわりを持っている場合が多いため、低予算で品質の高い住宅を建てることができる可能性が高くなります。大手ハウスメーカーでは住宅設備などが決まってしまっている場合が多いですが、それらを自由に選べるなど、融通がききやすいのも魅力的です。 もちろん、それぞれの会社ごとに特色も異なりますので、単にハウスメーカーか工務店かということだけでなく、会社ごとに下調べした上で依頼先の候補を絞り込んでいくことが重要です。

住宅会社を下調べする際のポイントを決めておく

ほとんどの工務店・ハウスメーカーが自社のホームページを設け、そこで自社の住宅商品や住宅の性能・技術・構造などについてアピールしています。特に大手ハウスメーカーのホームページは情報も多く、どこも自社の良い点ばかりをアピールしていますので、やみくもにインターネットで調べても迷ってしまうだけになるかもしれません。そこで、下調べする際にはいくつかポイントを絞っておきましょう。 例えば、

  • 工法(木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなど)
  • 家の耐震性
  • 家の耐久性
  • 家の断熱性(住宅の省エネ性)
  • デザイン
  • アフターサービス
  • 営業担当者(パートナー)との相性

などです。これらの中から自分たちにとっての優先順位をつけておくとよいでしょう。

工法(木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなど)について

工法については、木造といっても在来工法やツーバイフォーの違いなどもあり、それぞれの工法に特徴やメリット・デメリットがあります。詳しくは一戸建ての工法の種類にはどんなものがあるの?のページをご覧下さい。

家の耐震性について

耐震性については、今どきどこの工務店・ハウスメーカーもある程度力を入れています。それぞれ耐震・制震などの技術には特色がありますが、一つの目安として「耐震等級」という指標が設けられていますので、そういった客観的な数字を参考にするのもよいでしょう。

家の耐久性について

耐久性については、家の材質や工法とも関連がありますが、例えば「木造だから鉄骨より耐久性が低い」という単純な評価はできません。それぞれ工法ごとに耐久性を高めるためにどんな対策をとっているか、詳しく確認する必要があります。また、外壁の材質なども耐久性を左右する重要なポイントです。

家の断熱性(住宅の省エネ性)について

断熱性については、断熱材やサッシの性能以外に、施工方法の違いもあります。また、断熱性が高いということはそれだけ省エネにもつながるということです。これらは、「断熱等性能等級」や「省エネルギー対策等級」などの客観的な評価を参考にすることもできます。

デザインについて

デザインについては、個人個人の好みによります。あまり個性を出さずシンプルなデザインの住宅を提供している住宅会社もあれば、規格住宅ながら特色あるデザインを売りにしているところ、また自由設計でオンリーワンのデザイン住宅を提案してくれるところもあります。

アフターサービスについて

そしてアフターサービス。保証期間や保証内容、費用、万が一のトラブルの時の対応など、各社異なります。長く生活していくと当然故障や破損、劣化なども起こりやすくなりますのでアフターサービスの内容はしっかり確認したほうが良いでしょう。

営業担当者(パートナー)との相性

また、もう一つチェックしておきたいのは、営業担当者の人柄や自分たちとの相性について。もちろん、人で依頼先を決めるわけではありませんが、信頼して何でも相談できるパートナーとなってくれる人かどうかは案外重要です。大手ハウスメーカーではモデルハウスを設けていることがほとんどですが、小規模の工務店ではモデルハウスが無い場合が多いので、その場合は実際にその会社で家を建てたOB施主を訪問させてもらうなどの方法をとることが可能な場合もあります。

モデルハウス・展示場などに足を運ぶ

具体的に建てたい住宅のイメージを持つために、また依頼する住宅会社の候補を絞り込むためには、実際にモデルハウスに訪れてみることは重要です。ただし、まだ自分たちの建てたい住宅の構想が決まっていない段階で行動してしまうと、美しい新築のモデルハウスに舞い上がって、つい話を進めてしまい後で後悔…なんてことにもなりかねません。まずは、前述の自分たちの建てたい「住宅に対する要望や理想を整理する」という作業が必要です。

モデルハウス・展示場などを訪問するときのポイント

モデルハウス・展示場などを訪れた際には、「間取り・天井高・空間」、「住宅の素材・部材」、「キッチンなど住宅設備の使い勝手」、「住宅の構造・性能」などについてチェックしましょう。ぱっと見の印象だけでなく、メジャーなどを持参して配置を確認するのも有効です。分からないことや詳しく知りたいことは、現場の営業担当者にどんどん質問してみるといいでしょう。