不動産を売るときにかかるお金

マンションや土地、戸建などの不動産を売却するときには、かかる諸費用も考慮しておかなければなりません。手数料や税金などどんな費用がいくらくらいかかるのか、事前に確認しましょう。 売却金額からその諸費用を引いた額が売主様の手取り金額となります。

     

仲介手数料

不動産を売るときにかかるお金イメージ1仲介手数料とは、不動産売買・賃貸の際に不動産仲介業者に対して支払うお金のことをいいます。仲介手数料はあくまで成功報酬なので、契約が成立しなかった場合には支払う必要がありません。
また、ケースによっては仲介手数料を支払う必要がないことがあります。仲介手数料を支払う必要があるかどうかは、物件の「取引様態」つまり不動産会社の立場によって変わります。

不動産会社が買主の場合
仲介手数料は発生しません。
不動産会社が買主の代理人、仲介人の場合
原則的に仲介手数料が必要となります。

仲介手数料は、法律により、売買金額の以下のパーセンテージが手数料の上限とされています。

不動産の売買価格手数料の上限
200万円以下5%
200万円超 400万円以下4%+2万円
400万円超3%+6万円
     

印紙税

印紙税とは印紙税法に基づき課される税金のことで、売買契約書に定められた金額の収入印紙を貼って消印(印鑑などによる割印のこと)することで納税したとみなされます。
同じ契約書を複数作るときは、1通ごとに印紙を貼らなければなりません。
売買契約書は通常、売主保管用と買主保管用の2通作成されるので、2通分の印紙税が必要となります。売主と買主それぞれが1通分ずつ負担するのが一般的です。仲介会社と締結する媒介契約書には印紙税はかかりません。
売買契約書に貼る印紙の金額(印紙税額)は契約書に記載されている物件の売買価格によって以下のように決められています。

売買価格印紙税額
1000万円~5000万円1万円
5000万円~1億円3万円
1億円~5億円6万円

※印紙税は平成30年3月31日まで軽減措置が実施されています。

     

ローン事務手数料・抵当権抹消・所有権移登記費用

住宅ローンが残っている場合や売却する不動産を担保に借り入れを行っている場合にはこれらの費用が必要となります。
不動産を担保に借り入れを行っている場合には、万が一ローン返済が滞った場合にその担保不動産を自由に差し押さえ、売却等ができるようその土地や家、マンションに借入銀行が抵当権を設定しています。 抵当権付きの不動産物件を買う人はいませんので、売却時には借入金を全額返済し、抵当権を抹消する必要があります。
また、不動産を売却するときには所有権を買主に移転する「所有権移転登記」が必要ですが、その際の登記費用は買主が負担します。売主は売却物件に住宅ローンが残っていた場合の「抵当権抹消登記」などの費用を負担します。「抵当権抹消」には登録免許税のほか、司法書士に支払う報酬が必要です。

抵当権抹消登記費用(登録免許税)
不動産1個につき1,000円+代理人依頼手数料

※土地上に建物があり、土地建物両方に抵当権が設定されている場合、1,000円×2筆=2,000円かかります。
※司法書士等代理人に登記を依頼する場合、約5、000~10,000円の手数料がかかります。

銀行へ残債を全て返済し終えたら、銀行より抵当権抹消について資料が届きます。銀行に司法書士がついている場合もありますので、そちらへ頼むことも出来ますし、自分で自由に司法書士を選ぶことも出来ます。もちろん自分で手続きをすることもできますが、書類を作成したり法務局へ出向く手間がありますので、司法書士に頼む人がほとんどです。 中には対応不可の銀行もあるようなので、その場合には、自分で手続きをしなければいけません。

     

不動産を売った金額にかかる税金

不動産(土地や建物)を売った金額(譲渡所得)に対する税金は、「分離課税」と言って他の所得と区別して計算します。確定申告の手続は、他の所得と一緒に行います。

課税譲渡所得金額の計算

不動産を売るときにかかるお金イメージ「課税譲渡所得金額」は、次の算式により計算します。この算式で計算した結果損失が生じても、土地や建物の譲渡による所得以外の所得との損益通算はできません。

課税譲渡所得金額の計算方法
課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合)

※取得費・・・売った土地や建物を買ったときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します。)や仲介手数料などの合計額です。実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます。
※譲渡費用・・・仲介手数料、測量費など土地や建物を売るために直接要した費用、貸家の売却に際して支払った立退料、建物を取り壊して土地を売ったときの取壊し費用などです。
※特別控除額・・・収用などのとき:最高5,000万円、自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円(ページ下「3,000万円の特別控除の特例」をご覧下さい) ※マイホームを売って譲渡損失がある場合などは、損益通算ができる特例があります。(ページ下「マイホームを売ったときの特例」をご覧下さい)

税額の計算

課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。

税額の計算方法
税額 = 課税譲渡所得 × 税率

税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって、適用する税率が次の表のように異なります。

長期譲渡所得
不動産の譲渡以前の所有期間が売った年の1月1日現在で5年以上あった場合の譲渡所得のこと
短期譲渡所得
不動産の譲渡以前の所有期間が売った年の1月1日現在で5年以下のものの譲渡所得のこと
税率
区分所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

例えば、平成29年中に譲渡した場合は、その土地や建物の取得が平成23年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成24年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

※マイホームを売ったときは、税率を軽減する特例があります。(ページ下「マイホームを売ったときの特例」をご覧下さい)
※平成25年から平成49年までは、確定申告の際に所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した「復興特別所得税」を申告・納付することになります。

マイホームを売ったときの特例

マイホーム(居住用不動産)を売った場合には一定の要件を満たすと譲渡所得から控除できたり、軽減税率を受けることができる特例があります。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホーム(居住用財産)を売って譲渡益がある場合には、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
譲渡所得金額が3,000万円に満たない場合には、特別控除枠は、その譲渡所得金額が限度となります。
課税譲渡所得金額 ={ 譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)} -(特別控除=3,000万円)

●特例の適用要件
  1. 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売る場合
    また、以前に住んでいた家と敷地等の場合には、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売った場合
    住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合には、全てに当てはまることが必要な他の要件があります。
  2. 売った年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  3. 売った家屋や敷地について他の特例の適用を受けていないこと。
  4. 売手と買手が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などの特別な関係でないこと。
●適用除外
  1. この特例を受けることだけを目的として入居したと認められるもの
  2. 居住用家屋を新築する期間中だけの仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したもの
  3. 別荘などのように主として趣味、娯楽、保養のために所有しているもの
●特例の適用を受けるために必要な手続きと書類
この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。確定申告書を申告期限内に提出し、その後の年も連続して確定申告書を提出する必要があります。確定申告書に次の書類を添えて提出してください。
  1. 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

※マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合

  1. 戸籍の附票の写し
  2. 消除された戸籍の附票の写し
  3. その他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするもの

軽減税率の特例

所有期間が10年を超えている自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って、5つの要件全てに当てはまる場合には、長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。
「3,000万円の特別控除の特例」を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対して、軽減された税率で税額を計算します。
課税長期譲渡所得金額 =(土地建物を売った譲渡(収入)金額)-(取得費+譲渡費用)- 特別控除
※平成25年から平成49年までは、確定申告の際に所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した「復興特別所得税」を申告・納付することになります。

●特例の適用要件
  1. 国内にある自分が住んでいる家屋、家屋とともにその敷地を売却した場合。
    ※以前に住んでいた家屋や敷地の場合、また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること。
    ※住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合には、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであることなど、さらに全てに当てはまることが必要な3つの要件があります。
  2. 売却した年の1月1日において、その家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
  3. 売却した年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと。
  4. 売却した家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など「マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例」以外の他の特例を受けていないこと。
  5. 売手と買手が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などの特別な関係でないこと。
●税率
課税長期譲渡所得金額所得税住民税
6,000万円までの部分10%4%
6,000万円を超える部分15%5%

例)30年前に購入した土地、建物の譲渡価額が1億4,500万円、土地・建物の取得費(建物は減価償却費相当額を控除した後)が1億円、譲渡費用(仲介手数料など)が500万円の場合
1) 課税長期譲渡所得金額の計算 1億4,500万円-(1億円+500万円)=4,000万円
2) 税額の計算 所得税:4,000万円×15%=600万円 復興特別所得税:600万円×2.1%=12万6000円 住民税:4,000万円×5%=200万円

●適用を受けるための手続
この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。確定申告書に次の書類を添えて提出してください。
  1. 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕
  2. 売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書

※マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合

  1. 戸籍の附票の写し
  2. 消除された戸籍の附票の写し
  3. その他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするもの

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って譲渡損失があった場合に、譲渡資産が一定の要件を満たす居住用財産であり、かつ、その譲渡が一定の要件を満たすものの場合、その譲渡損失の金額をその年の他の所得と損益通算することができます。 その年で通算しきれなかった譲渡損失の金額がある場合には、その年の翌年以後3年内の各年分(合計取得金額が3,000万円を超える年分を除きます。)の所得から繰越控除することができます。

●特例の適用対象となる譲渡資産とは
個人が有する居住用家屋又はその家屋の敷地用に供されている土地等で、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち次に掲げるもの。
  1. 国内にあるもので譲渡する個人が居住用に供している。また、居住用に供している家屋を2以上所有する場合には、主に居住用として使用している1つの家屋に限る。 また、譲渡する家屋のうちに居住用以外の用に供している部分がある場合、居住用に供している部分に限る。
  2. 譲渡する家屋の所有者の居住用に供されなくなったもので、居住用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限る。
  3. ※住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合には、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであることなど、さらに全てに当てはまることが必要な3つの要件があります。
  4. 譲渡する家屋が災害により滅失し、その個人がその家屋を引き続き所有していた場合、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えることとなるその家屋の敷地の用に供されていた土地等で、その災害があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限る。
●適用要件
  1. 平成29年12月31日までに行われる譲渡であること(通常の売買のほか、借地権の設定などの譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む)
  2. 売手と買手が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などの特別な関係でないこと。
※その年中において特定譲渡が2以上ある場合には、1つの特定譲渡に限って特例を適用することができる。
●適用を受けるための手続
譲渡損失が生じた年分の所得税について、この特例の適用を受けようとする旨の記載があり、次の全ての書類の添付がある確定申告書を期限内に提出する必要があります。
また、損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出する必要があります。
  1. 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
  2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
  3. 売却したマイホームの登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの
  4. 売却したマイホームの売買契約日の前日におけるそのマイホームの住宅ローンの残高証明書
マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合などには、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出してください。

(参考)亡くなった人の住まいに係る3,000万円の特別控除の特例

亡くなった人が、相続開始の直前に1人で住んでいた家とその敷地を相続した人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにその家や敷地を売った場合で、一定の要件を満たすものについては3,000万円の特別控除の特例を適用することができます。
※平成28年4月1日から平成31年12月31日までの売却に限ります。

マイホームを買い換えたときの特例

マイホーム(居住用財産)を売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームの買換え(交換)をした場合、一定の要件に該当すれば、その譲渡益の課税を繰り延べる特例を受けることができます。

特定の居住用財産の買換えの特例

特定のマイホーム(居住用財産)を平成31年12月31日までに売却し、代わりのマイホームに買い換え、一定の要件を満たすものの場合には、買い換えたマイホームを将来譲渡するときまで、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
ただし、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」又は、「軽減税率の特例」とは、選択適用となっています。
※譲渡益が非課税となるわけではありません

例えば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合、通常は4,000万円の譲渡益が課税対象となる。しかし、この特例の適用を受けると、買い換えたマイホームを将来譲渡するときまで課税が繰り延べられる。買い換えたマイホームを例えば将来8,000万円で売却した場合、売却価額8,000万円と購入価額7,000万円との差額である1,000万円の譲渡益(実際の譲渡益)に対して課税されるのではなく、実際の譲渡益1,000万円に特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4,000万円の譲渡益(課税繰延べ益)を加えた5,000万円が、譲渡益として課税される。

●特例の適用要件
  1. 自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
    ※住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合には、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであることなど、さらに全てに当てはまることが必要な3つの要件があります。
  2. 他の特例の適用を受けないこと
  3. 売ったマイホーム(居住用財産)と買い換えたマイホーム(居住用財産)は、日本国内にあるもの
  4. 売却代金が1億円以下であること
  5. 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること
  6. 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること
  7. マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。また、買い換えたマイホームには、一定期限までに住むこと。
    売った年かその前年に取得したとき・・・売った年の翌年12月31日まで
    売った年の翌年に取得したとき・・・取得した年の翌年12月31日まで
  8. 買い換えるマイホームが一定の耐震基準を満たすもの
  9. 売手と買手が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などの特別な関係でないこと。
●適用を受けるための手続
この特例を受けるためには、次の書類を添えて確定申告をすることが必要です。
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 売った資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類
    1. 国内にあること
    2. 自分が以前住んでいたこと
    3. 家屋及びその家屋の敷地や借地権
    4. この家屋が災害により滅失した場合において、その家屋を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日において所有期間が10年を超えるその家屋の敷地や借地権(災害があった日から3年目の年の12月31日までの間に売ったものに限ります。)
  • 売った資産の登記事項証明書等で所有期間が10年を超えるものであることを明らかにするもの
  • 買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写しで、取得したこと及び買い換えた資産の面積を明らかにするもの
  • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの
  • 買い換えた資産が耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであることを明らかにする書類、又は耐震基準適合証明書など。
  • 売却したマイホーム(居住用財産)に係る売買契約を締結した日の前日において、住民票に記載されていた住所と売った資産の所在地とが異なる場合、また売った日の前10年以内において住民票に記載されていた住所を異動したことがある場合、戸籍の附票の写し等、売った資産が上記に該当することを明らかにするもの
    確定申告書の提出の日までに買い替えた資産に住んでいない場合には、その旨及び住まいとして使用を開始する予定年月日その他の事項を記載したもの

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホーム(旧居住用財産)を平成31年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居住用財産)を購入した場合に、譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。
※この特例と「住宅借入金等特別控除制度」は併用できます。

●特例の適用要件
  • 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。また、この譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けが含まれ、親族等への譲渡は除かれます
    ※住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合には、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであることなど、さらに全てに当てはまることが必要な3つの要件があります。
  • 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。
  • 譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること。
  • 買換資産(新居宅)を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込みであること。
  • 買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。
●特例の適用除外
  1. 繰越控除が適用できない場合
    • 旧居宅の敷地の面積が500平方メートルを超える場合は、500平方メートルを超える部分に対応する譲渡損失の金額については適用できません。
    • 繰越控除を適用する年の12月31日において新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがない場合
    • 合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。
  2. 損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
    • 売手と買手が、親子や夫婦、生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などの特別な関係でないこと。
    • 旧居宅を売却した年の前年及び前々年に「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例」「居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除」「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」「特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例」を適用している場合
    • 旧居宅を売却した年、またはその年の前年以前3年内における資産の譲渡について「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例」の適用を受ける場合、もしくは受けている場合。
    • 売却の年の前年以前、3年内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例」を受けている場合
●適用を受けるための手続
確定申告書に次の書類を添付する必要があります。
  1. 損益通算の場合
    • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
    • 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)
    • 売却した資産が次のいずれかの資産に該当する事実を記載した書類
      1.自分が住んでいる家屋のうち国内にあるもの
      2.国内にある家屋で自分が以前に住んでいたもの
      3.国内にあり、自分が以前に住んでいた家屋及びその家屋の敷地や借地権
      4.上記Aの家屋が災害により滅失した場合、その家屋を引き続き所有していたら、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるその家屋の敷地や借地権(災害があった日から3年目の年の12月31日までの間に売ったものに限る)
    • 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えること及び面積を明らかにするもの
    • 売った時において住民票に記載されていた住所と売った資産の所在地とが異なる場合、その他これらに類する場合に、戸籍の附票の写し等で、売った資産がこれらの要件に該当することを明らかにするもの
  2. 新居宅に関する次の書類
    • 登記事項証明書や売買契約書の写しなどで購入した年月日、家屋の床面積を明らかにするもの
    • 年末における住宅借入金等の残高証明書
    • 確定申告書の提出日までに買い換えた資産に住んでいない場合には、その旨と住まいとして使用を開始する予定年月日、その他の事項を記載したもの
  1. 繰越控除の場合
    • 損益通算の適用を受けた年分について、一定の書類の添付がある申告書を期限内に提出すること。
    • 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。
    • 確定申告書に年末における住宅借入金等の残高証明書を添付すること。

譲渡した年に買換えができなかったとき

マイホ-ムを譲渡したその年に買い換えることができなかったときは、譲渡した年の翌年の12月31日までに買い換えることができれば「特定のマイホームを買い換えたときの特例」を適用することができます。
この場合、買い換えた年の翌年の12月31日までに買い換えたマイホームに住むことが必要です。
譲渡した年の翌年に買い換える場合の申告手続に当たっては、確定申告書に取得する予定の買い換え資産について、取得予定年月日及び取得価額の見積額、その他の明細を記載した「買換(代替)資産の明細書」を添付する必要があります。
この場合の譲渡所得の計算は、この取得価額の見積額に基づいて行います。買い換えるマイホ-ムを実際に取得した場合は、取得した資産の購入代金などの支払明細などを提出して精算することになります。


実際に取得したマイホ-ムの金額が見積額と異なる場合や翌年中にマイホームを取得できなかった場合、取得したマイホームに取得した翌年中に入居できなかった場合には、譲渡所得の税金に変動を生じることになりますので次の手続が必要です。

1.実際に取得した金額が見積額より大きいため譲渡所得に係る税額が減少する場合
  • 譲渡所得の税金を減らすためには更正の請求をすることが必要です。
  • マイホ-ムを取得した日から4か月以内に更正の請求をすることができます。
2.実際に取得した金額が見積額より少ないため譲渡所得に係る税額が増加する場合
  • 修正申告と納税が必要です。
  • マイホ-ムを譲渡した年の翌年の12月31日から4か月以内に修正申告書の提出と納付すべき税額を納付してください。
    なお、その期限内に修正申告書の提出と納付すべき税額の納付をすれば、加算税や延滞税がかかることはありません。
3.翌年中にマイホームを取得できなかった場合や取得したマイホームに取得した翌年中に入居できなかった場合
  • 修正申告と納税が必要です。
  • マイホ-ムを譲渡した年の翌年の12月31日から4か月以内に修正申告書の提出と納付すべき税額を納付してください。
    なお、その期限内に修正申告書の提出と納付すべき税額の納付をすれば、加算税や延滞税がかかることはありません。

これらの税金について詳しくは国税庁ホームページをご確認下さい。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/jouto303.htm

     

他にかかることが考えられる費用

不動産を売るときにかかるお金イメージ売却物件の状態や引越しなど、お客様の状況によりかかる費用も異なります。中には高額になるものもありますので確認しておきましょう。これらは仲介会社に依頼すればかかる費用の概算を教えてくれたり、専門業者を紹介してくれたり、依頼できる場合もあります。また、自分で探して依頼したほうが安く済むケースもあります。

 

修理修繕費用、リフォーム代

修理・修繕後、引渡をする場合などに必要です。リフォームをして売却する場合にはリフォーム費用も必要です。

家財の処分・建物解体費用

不用品は引越し業者が処分してくれる場合もあります。相続した家の場合、遺品整理や資産整理を必要とするケースが多く、業者に頼む場合にはその費用も必要になります。築年数が古い古家の場合は、更地渡しを希望する買主さんも少なくありません。また、更地にして土地として売り出した方が買主さんが早く見つかる場合があり、これらのように更地で売却する場合には解体費用が必要となります。

境界設置・測量・分筆登記費用

敷地の境界がはっきりせず境界標の設置が必要な場合や、土地を切り売りする場合に必要な費用です。
売却したい物件に土地が含まれている場合に必要となりますが、「公簿売買」にすれば若干の相違があろうとも両者が納得すれば、契約を締結することができます。 ※公簿売買とは公図をもとに現に登記されている面積を正しい内容とみなして売買することを言います。

各種証明書発行費用

契約から引き渡しまでの間に必要となる印鑑登録証明書、ローン残高証明書、住民票の取得費用です。

その他

仮住まいの費用、引越し代、ハウスクリーニング代、各種清算金etc.
売却したい物件がマンションの場合、その管理費や修繕積立金等を日割清算する必要があります。また、売り出しを先行して買換えする場合には、仮住まいの費用が必要になります。他にも引っ越し業者に依頼するための費用や、新居で使用する家具購入費用も考えておきましょう。
また、買い替えをする場合などには仮住まいが必要となり引越し費用が2回分かかる場合もあります。