固定金利・変動金利 住宅ローン金利タイプ 比較

マイホームを購入する際、住宅ローンを固定金利型にすべきか変動金利型にすべきか、悩まれる方が多いのではないでしょうか。結局はどっちがトクなのか。残念ながら決まった答えはありません。そこでそれぞれのポイントを整理してみたいと思います。
(参考:知っておきたい住宅ローンのこと


固定金利型

選んだ返済期間の一定期間中はずっと金利,返済額が変わらない住宅ローンの金利タイプです。 3年、5年、7年、10年など期間を選択する「短期固定金利タイプ」、全期間の「長期固定金利タイプ」があります。全期間固定金利型といえばフラット35などが代表例です。
「将来の返済額が増えては困る」という場合には、固定金利型が安心です。変動金利型に対して利息が高く見えるかもしれませんが、返済額が増えるリスクを負わなくて済む安心料と考えることができるでしょう。

固定金利の特徴
  • 最初の金利が返済終了まで変わらないため、返済計画が立てやすく安心
  • 現在の金利は過去最低水準なので、将来金利が上がってたときにおトク
  • 短期固定金利タイプの場合、固定金利期間中は返済額が変わる心配はないが、固定期間が終了すると、その時の金融情勢により金利が見直される

長期固定金利タイプと短期固定金利タイプ

変動金利型

景気や物価の水準に応じてローンの金利が定期的に見直されるものです。利息の見直しは半年ごと、返済額の見直しは5年ごとが一般的なようです(5年は返済額が一定ということ)。
当初の金利が固定金利型に比べて低く、金利の低い金融情勢ではとくに返済額が少なくすみます。但し、金利上昇リスクがあるため、将来の返済額が増える可能性があります。また、金利上昇した場合に返済額を前の金利の1.25倍までに抑えるローン商品も多く、その場合元金返済額が少なくなり返済期間までに元金が返済できない場合もある。 借入額が少ない、返済期間を短く設定できる、返済額がアップしてもきちんと返済できる能力がある、といった方に向いていると言えます。

ここで、変動金利型を選ぶ際のリスクを軽減する方法としてよく取られている方法をご紹介します。

変動金利型の賢い使い方

まず月々の返済可能額から固定金利型(高めの金利)で借入額を試算します。例えば年利2.03%のとき、月10万円を35年にわたって返済する場合、約3000万円借り入れることができます。
この3000万円を、当初年利0.875%の変動金利型借り入れて35年返済とすると、当初の返済額は月々82,900円となるため、固定金利型の場合に比べて返済額がおよそ17,000円少なくなります。この17,000円を貯蓄しておくことで、5年間で100万円近くになり、将来の返済額増額リスクに備えることができます。


変動金利の特徴
  • 返済開始時の利率が低く、返済額も小さい
  • 金利の上がり方によっては利息が跳ねあがる

変動金利

具体的にシミュレーションして比較しよう

トータルで支払う利息で比べるとどちらが有利なのでしょうか。具体的にシミュレーションしてみましょう。
借入金額3000万円、返済年数35年、元利均等返済の場合を考えてみます。

固定金利型(年利2.03%とする)

月々の返済額:約99,800円
返済総額:約4193万円
総支払利息:約1193万円

変動金利型その1

当初年利0.875%、以降5年ごとに0.5%ずつ金利が上がり、21年目以降は2.875%で一定と仮定した場合
月々の返済額:約82,900円(1年目~5年目)、…、約102,400円(21年目以降)
返済総額:約4036万円
総支払利息:約1036万円

変動金利型その2

当初金利0.875%、以降5年毎に1%ずつ金利が上がり、21年目以降は4.875%で一定と仮定した場合 月々の返済額:約82,900円(1年目~5年目)、…、約104,900円(21年目以降)
返済総額:4660万円
総支払利息:1660万円

返済開始時の金利は固定金利型>変動金利型なので、もしも当初と同じ金利が返済期間中ずっと続くならば、当然ですが変動金利型の方が支払う利息は少なくて済みます。しかし金利水準が上がると逆転する可能性が出てきます。

変動金利型では金利の上がり方によって利息が大きく変わることがおわかりいただけると思います。


まとめ

最近はローンの種類も多様化していて、固定金利型と変動金利型をミックスしたものもあります。また変動金利には2年固定、5年固定、10年固定などといったものもあり、上手く組み合わせることでリスクと支払総額を小さくすることができるかもしれません。

以上のように一長一短ある金利の種類。総支払利息は少ないに越したことはありませんが、ライフプランを考えて返済計画を立てることがそれ以上に重要です。

特に変動金利型を選ぶ際には、将来にわたって家計への影響を考えることが必要となります。教育費の負担が増える時期、あるいは定年以降などに金利が上昇して返済額が増えても問題ないかなどの不安があれば固定金利型も検討する必要があると言えるでしょう。

長期固定金利タイプに向いている人
  • 金利が上がる心配をしたくない
  • 近いうちに教育費負担が増えるなどの予定がある
  • 今後金利が4%以上に上昇すると予想している
短期固定金利タイプ・変動金利タイプに向いている人
  • 景気の変動などを追うのが苦でない
  • 返済能力に余裕がある
  • 返済期間が短い(おおむね20年以下)
  金利水準 返済額の変動 金利上昇リスク 金利下落時
のメリット
金利動向チェック
の必要性
長期固定金利タイプ × ×
短期固定金利タイプ
変動金利タイプ × × ×