不動産と相続についてー相続した不動産を売却しない場合の問題点とアドバイス

あなたが相続した不動産を使う予定がないのであれば、そのまま持ち続けるよりも売却してしまったほうがメリットが大きいかもしれません。その理由について説明していきましょう。
その理由が分かったら相続した不動産の問題を無くすための具体的なアドバイスもご紹介します。

     

問題点1 建物メンテナンスにお金がかかる

相続した不動産を売却しない場合の問題点とアドバイスイメージ1まず、家は人間が住んでいないと老朽化が早いと言われます。その結果、メンテナンスに余計なお金がかかったり、使えなくなったら取壊しをしなければなりません。そうなると費用もかさみます。また、後でいざ家を売却しようと思ったときに、老朽化してしまっていたら売却価格も下がってしまいます。
また、適切な管理が行われずに放置されている危険な空家等が増えていて、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、これらを減らすために1年間を通して人の出入りの有無や、水道・電気・ガスの使用状況などから総合的に見て「空き家」とみなされた場合には、行政より適正管理の助言や指導、勧告、命令がされることとなりました。さらに特定の空家に対しては罰金や行政代執行を行うことができるようになりました。
(平成26年11月成立「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法))

     

問題点2 固定資産税が毎年かかる

不動産は使っていなくても持っているだけで「固定資産税」がかかってしまいます。使っていないものに税金を払うのはもったいないですよね。
また、問題点1にも記載した「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、適切な管理が行われずに放置されている危険な空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、これらを減らす目的で特定の条件を満たした「特定空き家」については、「住宅用地の特例」の納税額軽減措置が外され、固定資産税の納税額が増える法律もできました。

     

問題点3 相続税支払いの問題

不動産を相続したときには「相続税」の支払いが発生します。最近のアベノミクス政策の一環で相続税が増税(基礎控除の範囲縮小)され、とくに首都圏で不動産を相続した場合には多くのケースが相続税を支払わなければならなくなりました。
また、相続税が発生する場合には、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内の納税が義務付けられています。さらに金銭で一度に納めるのが原則です。(特別な納税方法として延納と物納制度もあります。)

     

問題点4 相続財産が不動産のみの場合トラブルがおきやすい

相続財産が不動産しかない場合、相続人のうちの誰かだけがその不動産を相続する場合には不公平感からトラブルになりやすいです。また、それを全員の共有名義で相続する場合には、後に売却する際などに共有名義人全員の同意が必要になるなどからトラブルの原因になりやすいのです。さらに、そのまま放置しておくと相続人が死亡することによりそれを相続する人がさらに増えることになるため、トラブルにつながることが考えられます。

 

その他の問題点

  • 相続された不動産がマンションやアパートなどの場合には管理費や共益費、修繕積立金などの費用もかかります
  • 自分で管理をする場合には、管理のための時間や手間、費用がかかる
  • 相続された不動産内で事件やトラブルが起きた時に責任を負う
     

相続した不動産を問題なく活用するためのアドバイス

これらの理由から、活用する予定がない不動産や相続税を期限内に支払えないなどの事情があるようでしたら不動産を売却してしまったほうが負担が減ることになるでしょう。


アドバイス:建物に価値が無くなった不動産は更地にして売却するのがおすすめです

老朽化した空き家など所有している不動産の建物に価値が無くなったものは解体して【土地】として売却するのがおすすめです。
更地の場合、色んな用途に使用することができる、更地の場合土地の形が分かりやすく良いイメージで検討できるなどの理由から購入希望者が多くなります。 もちろん、更地にしなくても売却することは可能ですがその場合、価格は割安になってしまいます。少しでも高く売りたい場合や早く売りたいということであれば更地の方が売れやすいのです。

アドバイス:相続財産の3000万控除の適用がある物件は売却するのがおすすめです

空き家になった不動産を売却する場合、相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに更地にし譲渡する事で一定の要件を満たせば、譲渡利益のうち、3000万までは非課税になります。

アドバイス:共有名義で相続した場合には売却して現金化し分けるのがおすすめです

不動産を売却して現金化し、そのお金を相続人で公平に分けるという方法が、後々のトラブルを防ぐ有効な方法のひとつです。

相続人をトラブルや負担から守るために

このように、使わなくても持っているだけで金銭面・精神面・体力面とデメリットが多いのが不動産の相続の特徴です。活用予定のない不動産を相続した場合は、思い切って売却するのも1つの方法ではないでしょうか。なお、相続人をトラブルや負担から守るために生前対策として活用していない不動産を売却して現金化し相続人に相続させるということも検討されてみてはいかがでしょうか。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」について詳しくは国土交通省ホームページをご確認下さい。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html