あなたが不動産などの財産を相続したとき、一定の場合(基礎控除額を超える場合)に相続税を払わなければならないことについて、これまで述べてきました。
相続税の控除などについても知っていただいたところで、実際に相続税を申告する場合の「申告方法」と実際の「納税手続き」などについてご紹介したいと思います。
相続税の申告と納税の流れ
具体的な税金の支払方法についてご説明します。
相続税を払うためには、次のような手順で手続をとります。
- 申告
- 支払い(納税)
相続税の申告とは
まず、相続税を払う前に、相続税の支払金額がいくらなのかを国に報告する必要があります。これを相続税の申告といいます。
申告の際には、税務署所定の「申告書」に必要事項を記入します。また、その際にいくつかの書類を合わせて提出する必要があります。
申告の際「申告書」以外で必要なもの
- 相続人の略歴書
- 遺産分割協議書(遺言書)の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
- 生命保険金等支払通知書の写し
- 被相続人
- 相続人全員の戸籍謄本
- 土地、株式の評価計算書
- 固定資産税評価証明書
- 預金などの残高証明書
これらを提出する必要があります。
申告には期限があります
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。たとえば、6月1日にお父さんが亡くなられた場合には、翌年の4月1日(3月30日ではない)までに申告をする必要があります。
申告する場所は、基本的に被相続人の住所地を所轄する税務署です。たとえば、亡くなったお父さんが横浜市青葉区、遺産を相続するあなたが東京都葛飾区に住んでいる場合には、横浜市青葉区の税務署に申告をする必要があります。
この申告を期限内に行わない場合、「追徴課税」といって本来の支払額より多く相続税を払わなければならなくなります。ご注意ください。
相続税の納税方法
原則として、相続税は「金銭」で「一括」で支払わなければなりません。
しかし、たとえばもともとの手持ち資産が少なかったにもかかわらず、価値の高い不動産を相続した場合のように、相続税を払いたくても払えない場合があります。
そこで、特別な納税方法として「延納」と「物納」という2つの制度が用意されています。
- 延納
- 相続税を何年かに分けて納めることをいいます
- 物納
- 相続などで取得した財産そのもので納めることをいいます
なお、これらの方法で納税をする場合には、期限までに税務署に申請書などを提出し、その許可を受ける必要がありますのでご注意ください。
納税にも期限があります
納税の期間も、申告と同じです。したがって、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。 期間内に納税できなかった場合は、「延滞税」がかかってしまうことがあります。ご注意ください。 税務署だけでなく、金融機関や郵便局の窓口でも納税することができます。ここは、申告が税務署でしなければならないのと異なります。
次回は相続税の節税についてご紹介します。
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