契約の解除

契約の解除(けいやくのかいじょ)とは、日常用語としては当事者間に有効に締結された契約関係を終了させることです。
法律用語としては「狭義の解除」と言います。この狭義の解除は、いったん成立した契約の効力を、当初に遡って解消させることをいいます。
以下は狭義の解除についてです。

契約の解除を行うためには、事前の定めがある場合か、履行遅滞、履行不能等の法的に認められた事情がある場合であることが必要です。
発生の原因によって法定解除と約定解除の2種類があります。

・法定解除(ほうていかいじょ)
解除権の発生根拠が、法律の規定である場合です。具体的には債務不履行の場合及び各契約類型が特別に定めた解除権の発生事由が起こることをさします。
・約定解除(やくじょうかいじょ)
解除権の発生根拠が当事者間の約定(主に契約に付随してなす特約)であるものをさします。法定解除と違って当然に発生するわけではなく、予め一定の場合に解除権が発生する事を特約する事で発生するものです。
手付解除(557条)買戻し(579条)はこの一種である。

解除権の行使は、相手方に対する「意思表示」によります。
民法では、意思表示の効力発生の時点を"それが相手方に到達した時"とする立場(到達主義)をとっていますので、契約解除にあたっては一般的に配達証明付内容証明郵便で通知します。
解除権行使の意思表示は撤回できません。意思表示の瑕疵(意思表示が詐欺や脅迫によってなされた場合など)による取消は可能です。
当事者が複数いれば、解除の意思表示は全員から/全員に行う必要があり、解除権の消滅は全員につき効果が生じます。

広義の解除では、上記の「当事者の一方の意思表示による契約解除のほかに、当事者同士の意思表示の合致(契約)によって契約を解除する「合意解除(解除契約)」という方法もありますが、合意解除は一種の契約とみなされています。

建ぺい率

建ぺい率(建蔽率・けんぺいりつ)とは、敷地面積に対する建築物の建築面積の占める割合のことをいいます。
建ぺい率の値は建築基準法に基づいて用途基準が定められ、その用途地域の区分に応じて決められています。

「建ぺい率=建築面積/敷地面積」

つまりその敷地に対してどれくらいの規模の建物が建てられるかという割合のことで、用途地域ごとに制限されています。

建ぺい率が高ければ敷地いっぱいに建物を建てることが可能です。逆に低ければ敷地に空いているスペース(庭やカースペースなどに利用可能)を多く設けなければいけません。
住居系の用途地域は比較的建ぺい率が低く、商業系の用途地域は建ぺい率が高くなっています。
これは敷地内に適度の空地を確保することで通風、採光などの確保や延焼防止を図ることを目的として規制されています。
調べたい土地の市区町村役所の建築指導課または都市計画課に問い合わせるとその土地に定められている建ぺい率を調べることができます。また、販売されている不動産の場合には広告等に記載があります。
建築面積の最高限度は、「敷地面積」×「建ぺい率」で求めることができます。


その土地に定められた建ぺい率・容積率をみれば、その土地にどのような住宅が建設できるかがわかります。
もうひとつの容積率とは「その土地に建てられる建物の延べ床面積」を定めたものです。
詳しくは不動産用語集「容積率」ページへ

建ぺい率に含める箇所、含めない箇所
  • 含める箇所:外部階段、外壁より1m以上出たバルコニー・屋根・庇
  • 含めない箇所:出窓(床から30cm以上の高さ、壁から50cm以下)
<参考>用途地域別 建ぺい率・容積率一覧表
用途地域建ぺい率容積率
第一種低層住居専用地域30、40、50、60%のうち
都市計画で定める割合
50、60、80、100、150、200%のうち
都市計画で定める割合
第二種低層住居専用地域30、40、50、60%のうち
都市計画で定める割合
50、60、80、100、150、200%のうち
都市計画で定める割合
第一種中高層住居専用地域30、40、50、60%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
第二種中高層住居専用地域30、40、50、60%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
第一種住居地域50、60、80%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
第二種住居地域50、60、80%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
準住居地域50、60、80%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
近隣商業地域60、80%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
商業地域80%200、300、400、500、600、700、 800、900、1000、1100、1200、1300%のうち
都市計画で定める割合
準工業地域50、60、80%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400、500%のうち
都市計画で定める割合
工業地域50、60%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400%のうち
都市計画で定める割合
工業専用地域30、40、50、60%のうち
都市計画で定める割合
100、150、200、300、400%のうち
都市計画で定める割合
都市計画区域内で
用途地域の指定のない区域
30、40、50、60、70%のうち特定行政庁が
都市計画審議会の議を経て定める割合
50、80、100、200、300、400%のうち
特定行政庁が都市計画審議会の議を経て定める割合
建築条件付売地

建築条件付売地(けんちくじょうけんつきうりち)とは、売主もしくは売主の指定する建築会社で一戸建て住宅を建築をする条件のうえで販売される土地のことをいいます。
契約形態は違いますが、実質はフリープラン・フリー間取りの建売住宅と考えてもよろしいかと思います。「建築条件付き土地」とも言われています。

「建築条件付き売地」と「建売一戸建て住宅」の違いは以下のとおりです。

  1. 契約形態の違い
    建売一戸建て住宅
    「土地付き一戸建て」として一つの売買契約
    建築条件付売地
    「土地売買契約」と「建物建築請負契約」の2つに分かれる
  2. 建物の自由度の違い
    建売一戸建て住宅
    販売する際にはすでに建築確認を取得しており、完成もしくは建築中になる。 よって間取りなどの変更はほとんどできない。
    建築条件付売地
    土地を販売する段階では建築確認を取得しておらず、購入者が決まってから間取りや仕様を打ち合わせて建築に入る。
    このことから建築会社は決まっているものの建物の自由度は非常に高い。
  3. 価格表示の違い
    建売一戸建て住宅
    価格設定は土地と建物の一式となるため土地と建物を分けて表示はしない。
    建築条件付売地
    土地価格として表示しなければならない。そして、参考建物価格としてサンプル間取りを表示してその価格を掲載するケースが多い。
    土地価格については、建築会社に固定の条件があるため建築条件のない土地と比較すると若干安く売りだされている場合が多くみられる。
建築確認

建築確認(けんちくかくにん)とは、建物の建築にあたり建築基準法に基づき、その建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを着工前に審査することを言い、建築主はその計画の内容について建築主事の確認を受けることが義務付けられています。建築確認は、計画が敷地、構造、建築設備等の観点から法令に適合するものかどうかという観点から行われます。
建築確認を受けなければならないのは以下の場合と定められています。


  1. 特定の用途または一定の規模以上の建築物を建築し、または大規模の修繕もしくは大規模の模様替えをしようとする場合(建基法6条1項1号~3号)
  2. 都市計画区域(都道府県知事が指定する区域を除く)内、または都市計画区域外で都道府県知事が指定する区域内において建築物を建築しようとする場合(同条1項4号)
建築設計事務所

建築設計事務所(けんちくせっけいじむしょ)とは、建築物の計画立案、設計、設計監理、工事監理等を業務とする事務所のことを言います。
設計業務の受託の関係から意匠設計の事務所がそれらを統括することが一般的です。
建築設計には意匠設計、構造設計、設備設計の分野があり、それぞれの設計を専門とする建築設計事務所もあります。
建築設計者が行うものは設計監理、工務店や建設会社が行うのは工事管理です。つまり、建築工事を直接実施しているのは建築設計者や工務店、建設会社ではなく、トビ、大工、左官、建具、電気、水道等それぞれの職人となります。

建設住宅性能評価書

建設住宅性能評価書(けんせつじゅうたくせいのうひょうかしょ)とは、住宅性能表示制度に基づいて「竣工現場検査」をし発行されるもののことをいいます。
住宅性能表示制度に基づく住宅性能評価書には2種類あり、建物の設計段階における『設計住宅性能評価書』と建設後における『建設建物性能評価書』があります。
建設される住宅が設計住宅性能評価書に表示された性能が発揮されているか指定住宅性能評価機関が現場で数回中間検査するのが建設住宅性能評価です。
完成段階においても最終の検査を行います。こうして、完成住宅についての評価書である建設住宅性能評価書を交付します。
従って、建設住宅性能評価は設計住宅性能評価を受けていないと申請を行うことはできません。

景観地区

景観地区(けいかんちく)とは、良好な景観を保全するために、市町村が強制力を持って建築物の形態や規模を規制できる地区のことです。
景観法第61条により都市計画区域及び準都市計画区域内で景観地区を設定することができます。都市計画法には従来から「美観地区」という規定がありましたが、法改正(平成17年6月1日施行)によってこの「美観地区」が廃止され、その代わりに新設されたのが「景観地区」です。
景観法が平成17年6月に全面施行され、市町村が地域を独自に指定できるようになりました。景観計画は景観行政団体が策定しますが、住民が提案をすることができます。
周囲の景観との調和を図るためデザインや色、高さも規制でき、景観地区は京都市や松江市、広島県尾道市など全国に28地区あり歴史的街並みを守るための指定が多いです。
市街地の景観はそれぞれの地域によって特徴が大きく異なり、これから目指すべき方向性も当然ながら違うため、景観地区で定められる制限は全国共通ではなく地域の実情を反映したものになります。

検査済証

検査済証(けんさずみしょう)とは、建築基準法に定められたもので「建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合している」ことを証する文書のことを言います。
特定行政庁、又は指定確認検査機関で交付されます。
建築確認が必要な建物の工事が完了したとき、建築主は建築主事または指定確認検査機関に届出をして完了検査を受けなければなりません。
完了検査の結果、適法と認められた場合には検査済証が交付されます。

建築確認申請の必要な建築行為のうち、用途変更を除く全ての行為に義務づけられていて、完了検査申請は原則として完了後4日以内に行わなければならないと定められています。
完了検査申請書の提出後、係員による現地での完了検査、施工写真、試験成績書などのチェックを行い、建築基準関連規定に適合していることが確かめられた場合、検査済証が交付されます。通常は建築確認申請書の通りに施工されていることを確認しています。

しかしながら、完了検査の実施率(検査済証の交付率)は近年まで極めて低く、かつては5%~20%程度だったものと思われます。最近は実施率も上がり、国土交通省の資料によれば、平成10年度が約38%、平成13年度が約64%、平成16年度が約73%となっています。
ゆえに、過去に建てられたケースでは検査済証を取得していない分譲物件や注文住宅などが多いということに注意しなくてはいけません。
中古住宅の購入にあたって売主に対し検査済証の提示を求めても、それがもともと存在しないということも多々あります。
検査済証を見せられなかったからといってそれを理由に違反建築物だと断定することはできませんが、不安ならばしっかりと確認しておきましょう。

権利金

権利金(けんりきん)とは、土地や建物の賃貸借契約をする場合に、地主や家主に対して支払うの金銭のことです。礼金と呼ばれることもあります。
借地権を設定するための対価、または家賃や地代の前払いという性格を持ちます。
いずれの場合も、賃料とは別に授受され、敷金と異なって契約が終了しても返還されることはありません。
権利金が更地価格の1/2を超えると、貸し手側に所有権の売却益と同様の不動産譲渡税がかかります。
借地権を売却するときは、権利金に相当する金額が借地権価格になります。その授受は、都市部で広く見られる社会的な慣行です。

減価償却費

減価償却費(げんかしょうきゃくひ)とは、車や建物など古くなると価値が下がる減価償却資産の減少した部分を「減価償却費」といいます。
減価償却資産の価値の低下を事前に考え、その額を各会計期ごとに見積もり、それを費用として把握します。
減価償却資産は、機械設備や金型、社用車などの有形固定資産だけではなく、特許権や商標権、コンピュータのソフトウェアなどの無形固定資産も含まれます。
減価償却費を算出する方法には、主に定額法と定率法があります。

定額法と定率法
  • 定額法・・・毎年同じ額だけ減価償却していく方法。無形固定資産や建物、建物附属設備及び構築物などに使用される
  • 定率法・・・毎年同じ率で減価償却していく方法。
減価償却資産

減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)とは、建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具など時の経過によって価値が減っていく資産のことを言います。
年数の経過により価値の減少しない土地や骨董品などは減償却資産ではありません。
この減価償却資産取得金額は買った年の必要経費に全額なるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたって分割して必要経費として算入していきます。
例えば、5年使えるものは5年間で毎年1/5ずつ(定額法)経費に算入していきます。
この使用可能期間を法定耐用年数といい、財務省令によって法定耐用年数が定められています。
減価償却とは、このように減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続のことです。

玄関ポーチ

玄関ポーチ(げんかんぽーち)とは、建物の玄関前で壁から突き出た庇(ひさし)の下の部分の入口空間のことをいいます。
雨が降った日に傘を持って玄関を通る時、雨に濡れずに出入りできます。マンションの住戸にも門扉と玄関ポーチのついたタイプがあります。
門扉を設けて、門扉から玄関までの空間をポーチと呼び、戸建て感覚のプランでプライバシーが確保できます。ベビーカーなどを置くことも可能で実用性もあります。

現況地目

現状地目(げんきょうちもく)とは、登記簿上の地目でなく実際に現在利用されている地目のことをいいます。
地目とはその土地の利用目的を表したものです。不動産登記法では 「宅地」 以外にいくつも規定があり、全部で21種類。田、畑、宅地、山林、牧場、原野、墓地、境内地、公園などです。
登記簿に記載された地目、つまり登記簿地目と現況地目が一致していないこともあります。例えば、現在の現況地目が「宅地」であっても、登記簿上では「畑」や「山林」のままになっている土地が数多くあります。

競売物件

競売物件(きょうばいぶっけん/けいばいぶっけん)とは、債務不履行によって差し押さえられた不動産が地方裁判所によって競売にかけられ、競売に掛けることにより貸金の回収を図る制度があり、その競売にかけられた住居などのことをいいます。
メリットは、通常の取り引きに比べて格安の物件が多く、通常ではなかなか売り出されない好条件の物件が出る可能性もあります。
また、裁判所や財務省などの公的機関と取り引きをするので、安心感もあります。
デメリットとして、建物の中まで確かめられないことが多く、落札後、一定の期日までに支払いができないと保証金も戻ってこない可能性があります。
また、瑕疵(かし)担保責任が追及できず、何らかの障害があっても買い主の負担になります。そして、占有者がいる場合に立ち退き料が必要になったり時間がかかることがあります。